やぎポエム

ポエムとついてますがブログです。編集・ライターの林雄司のブログです。

カニと言える人生

カニで2回ほど湿疹が出たことがある。

それ以来、カニを避けている。

食事会に呼ばれてなにか食べられないものはあるかと聞かれたとき、カニと答えると、(いや、そんな高いものを用意する気はないんだけど…)と思われるかもしれない。

なので、

「あの、そんなもの用意する気ねえよって思うかもしれないんですが(笑)、カニ。だめなんですよ~」

と答えている。

「カニ」と堂々と言える人生でありたかった。

それっぽい

NETFLIXでドキュメンタリーばかり見ている。世界のストリートフード、富裕層の腐敗、音楽フェスが失敗するまで。どれも映像がかっこいい。

青っぽい映像でスローで横移動していることが多い。

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世田谷線から撮った映像をそれっぽくしてみた。

 

「それっぽい」が得意である。

デイリーポータルZでもそんなことばかりしている。

これは官公庁のパワポっぽくした年賀状

二次会はカラオケで

これはタロットカードっぽくしたカラオケのようす。

これはユニオンジャックっぽくした林

これは昭和初期の観光パンフレットの文語体っぽく書いた文章(リンク

 

会社の仕事でもそれっぽい資料を作ってそれっぽい説明をしている。僕に仕事を頼む人も、それっぽいやつを期待しているのだろう。

 

僕だけではない。たとえば区役所からのお知らせもどれもそれっぽい。

これはきっと区役所で担当者がそれっぽいのを印刷屋さんに依頼して、印刷屋のデザイナーがそれっぽく仕上げて納品、それっぽいのでOKになってそれっぽい掲示板に貼られて僕が見てそれっぽいなーと思ってるんだろう。

区役所のお知らせじゃなくてもiPhoneの広告もそれっぽい。

 

それっぽい、は表層だと思っていたのだけど、実はよのなか表層しかないのかもしれない。地味ハロウィンはそれっぽさの祭典である。

たまにそれっぽくないのがあると写真を撮る。筆文字でコーンスターチ。

 

新社会人に贈る

今年の冬、これから社会人になる若者と話した。「そうか。いよいよ就職か。でも会社はきみが思うよりもおもしろいところだよ」と年長者として偉そうに言ったのが

・借金取りが会社に乗り込んできたり
・電話で激情した村上さんが、村上のカミは上下の下!って叫んでいたり
・残業時間、誰もいないと思ったのかつきあってるふたりがイチャイチャしはじめたんで、いることをアピールするためにいらないコピー取りに行ったり
・本当にだれもいないときは顔をコピーしたり
・役職者が一夜にして平社員になったり
・取引先が倒産して行ってみたら灰皿で殴られて包帯まいてたとか
・酒飲めない先輩がウイスキーボンボン食べてふらふらになって早退したり
・保留にしないまま「めんどくさい人から電話~」と言って転送した人がめちゃくちゃ怒られていたり
・FAX送信が遅いんで引っ張ったら向こうに寸詰まりのデータが届いていたり
・人を間違えたままハンコくれとお願いしたらなぜかハンコおしてくれたり
・同僚が新入社員の家に理由つけて行ったらコネ入社で親会社の偉い人が出てきた話とか

といったエピソードばかりだった。

僕が会社をどう見ているかが分かる。愛おしい。

 

ミルフィーユ

すごく昔のこと。役員が作った事業計画の資料を見た。

いろんな施策を重ねて成長を目指す、みたいなことが書いてあって横に図が描いてあった。

社員と顧客の間に面が重なっている。その図がミルフィーユのようで、実際、その計画の名前は「成長のミルフィーユ戦略」だった。

たぶん考えて図を作ってる間に、ケーキに似てると思ったのだろう。

そして計画の名前もケーキに引っ張られている。

計画の細部、比喩もいちいちミルフィーユにちなんでいて、途中からケーキの話になってませんか、という資料だった。

 

会社ってこういう冗談みたいなことがたまに起こるのでやめられない。

 

クローゼットまで追いかけてきた

ウィル・フェレルというコメディアンの映画をよく見ていた。

主演した「俺たちニュースキャスター」という映画が(少し)ヒットしたので、そのあとの主演映画の邦題はだいたい「俺たち」がつけられている。

シリーズっぽくしているのか、B級っぽさを出したかったのか分からないが、ぜんぜん違う映画をシリーズにした「Mr.ブー」のようである。昭和のようだ。

ウィル・フェレルの映画ばかり見てたら、NETFLIX、アマゾンプライムでやたらとリコメンドされるようになった。ウィル・フェレルの顔ばかり出てくる。

下品で面白いんだけど、どれも似てるから最近は別のを見ていた。

と思ったらクローゼットからウィル・フェレルのTシャツが出てきた。クローゼットまで追いかけてきた。

ベトナムの夜市でばかな顔のTシャツがあったので買ったのだった。

そういえばこれウィル・フェレルだ。

テレビだけじゃなくてクローゼットから顔が出てくるのはコントっぽい。

 

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最近のNETFLIXでの主演作。どかーんと分かりやすいギャグではないんですよね。

鼻血デール

むかし、見分け方を集めているときにチップとデールの見分け方を教えてもらった。

> 鼻が赤いのがデール。鼻血デールと憶えます。

とのことだった。しかし僕はディズニーの映画をあまり見ないのでチップとデールがなんの動物なのか未だに分かってない。

しかし赤い鼻がデールであることはたぶん一生忘れないだろう。

「鼻血デール」のインパクトとわかりやすさが素晴らしいからだ。

 

はじめて憶え方を聞いたときに「これは一生忘れないやつだ」と思った。

生涯忘れることはないでしょう~みたいなことは、いい景色や出来事ではなく「鼻血デール」だったりする。

これを読んだ人もみんな忘れないだろう。呪いかね。

オレンジジュース

大学生のころ会社説明会でニューオータニに行った。

ニューオータニのオフィス棟(というのがある)に入っている小さい会社で、説明会で出たオレンジジュースがめちゃくちゃ美味かったのだ。

オレンジを絞ったジュースで、飲み終わったコップの表面にオレンジの細かい粒が残っていた。

たぶんあれはニューオータニの仕出しだったんじゃないか。最近ニューオータニに行く用事があったのでオレンジジュースを飲んでみたが、それほど粒は残らなかった。

ビュッフェのだったから薄かったのかもしれない。

 

そして当然、会社説明会で何を聞いたかはまったく覚えてない。

コップについたオレンジの粒を舐めたい、ここに水を入れて飲みたいと思ったことは覚えている。