ゴリラがぶら下がっているビルがあちこちにある。
もし僕に一生働かなくていいぐらいの蓄えがあって、数軒目のビルを建てるとする。信頼できる不動産会社と建築士に仕事を頼み、粛々とプロジェクトは進むだろう。
流行りのデザインで、人気の店がテナントとして集められる。大儲けはしないけど確実な利益が出そうなプランに僕は納得するだろう。
でも、そんなときにふと思うのかもしれない。
『ゴリラ、ぶらさげちゃおうかな…』
(ゴリラぶら下げちゃえよ!)(いいじゃんゴリラ。目立つよ~)
そんな金持ちしか聞こえない声があるのかもしれない。それに抗えなかったのが全国に散らばるゴリラビルなのだ。
自由の女神が立っているホテルにも同じものを感じる。
しかし、映画「キングコング」の公開は1933年。86年前である。86年後に遠く離れた島国に真似たビルがある影響力に身震いする。
渋谷の新しいビルのどれかひとつにゴリラぶら下げればいいのに。