タクシーの中で流れているCMのことばかり考えている。
借りた車に荷物を積んでいると元のオーナーがやってきて「ちっちゃいスピーカー持っていく?」と言う。
言われた若者はまさかという表情で
「ちっちゃいスピーカー持っていっていいんですか?」
と聞き返し、もうひとりは画面横から入り込んで
「ちっちゃいスピーカー持っていっていいんですか?」
と同じセリフを言う。
え?この「ちっちゃいスピーカー」ってそんなにありがたいの?それとも何かの隠語?
これだけフィーチャされるのだから伏線であるのは間違いない。
だが、ちっちゃいスピーカーの中に違法薬物が詰まってて無実の罪で拘束されるとかそういう展開はなく、キャンプファイヤを囲んで終わるのだ。
回収されない伏線。しかもちっちゃいスピーカーのCMではない。
伏線なんて世の中にない。例えば「あれ、この駅、前に来たことがあるような」と言ってる人がいても、それはただの勘違いでタイムリープではない。
回収されない伏線だけのドラマを作りたいと思ったらまさにこのCMがそれだ。
こんなにもかき乱されるなんて。いい。
YouTubeで何度も見たし、ちっちゃいスピーカーがなにかも特定した。
https://www.yodobashi.com/product/100000001003453082/
これだ。
もしかして若者の間でちっちゃいスピーカーが外遊びには必須で、この商品がデフォルトなのだろうか。
20代の若者に聞いてみたらそんなことはないとのこと。
CMタイトルに「カーシェアだけじゃない」とあるので、車の貸し借りだけじゃなくてコミュニティであることをアピールしたいのかもしれない。Airbnbのような。
そうするとオーナーがなにかタダで貸してくれるという展開は納得だ。では、何を貸したらいいだろう。
ビール → 車のサービスでアルコールはだめだ 食材 → 知らない人から食べ物もらうのは恐い ギター → 弾けない人もいるし キャンプ用品 → たぶん持ってるだろうし…
そう思うとちっちゃいスピーカーは最善の解だ。ちっちゃいスピーカーだ。
オーナーが「これ便利よ~」も言うのも、若者たちが「ちっちゃいスピーカー持っていっていいんですか?!」と喜ぶ気持ちも分かる。
しかしちっちゃいスピーカーが欲しい。