やぎポエム

ポエムとついてますがブログです。編集・ライターの林雄司のブログです。

ゆりかもめの呪い

むかしレインボーブリッジの向かいのビルで働いていた。

 

窓からループ部分を走るゆりかもめを見て同期のDがこう言っていた。

 

「もしゆりかもめの中にすげえトイレに行きたい人がいたら、『なにループしてんだよ!早く次の駅に行けよ!』って思ってるだろうなー」

 

それ以来、あのループを通るたびに、「この車内にトイレ行きたい人いたら…」と思うようになってしまった。呪いである。

 

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土木に詳しい人に会ったのでついに聞いてしまった。あのループは意味があるのか。実はカクって曲がることができるんじゃないか。

 

意味があると即答だった。

 

東京湾はでかい船が入るのでレインボーブリッジは高くしないといけない。→ 高いところに通すためにはループして徐々に高くする必要がある(鉄道は急勾配にできない)。

 

そしてトイレを我慢して乗っている人にはピンチになる。

 

ゆりかもめでトイレ我慢して脂汗を垂らしている人は、東京湾に豪華客船が来ることを恨むべきなのだ。

 

仮定の話だし、呪いなんだけど。

 

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るるぶ東京'97

メルカリに25年前のるるぶ東京があったので買ってみた。そういえばこれあったねえ、などと古い東京を懐かしがってやろう。

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だが、ビルとか店とかそんな変わってないなと思ってするする読んでしまった。渋谷の12ヶ月ビルとか、銀座のレモン社とか。

いや、待てよ…と思って調べたらどちらもなかった。レモン社は移転してビルに入っていた。ミプロ舶来横丁(サンシャインシティの下で変なものを売ってた)もこどもの城もない。12ヶ月ビルにあった食べ放題の寿司屋は新宿に移っていた。

るるぶ97と僕の認識する東京は合ってて、両者ともに今とずれているだけだった。

英語表現を知る

一昨年、クラウドファウンディングに変なマスクがあったので申し込んだ。

 

 

ウイルスを完全に遮断するフルフェイスのマスクだ。機能は眉唾だったとしても見た目がおもしろい。申し込んだのが2020年12月。配達予定が2021年3月だったがいまだに届いてない。


クラウドファウンディングでこれぐらい遅れるのはよくあるのだが、今回は遅れたうえに、一部のユーザにバリがついたままの部品を送ったり(キットだなんて書いてない)、組み立て方のビデオに登場する部品だけよくできてるのを使ったり展開から目が離せない。
 
プロジェクトの進捗の報告があるたびにREFUND!REFUND!REFUND!と反応があり、英語で叫んでいる声は大文字で表現するという話は本当だったんだなと実感している。
 
ほかにも、みたことない英文が並んでいて感心する。
 
> Yo assholes. (「よう、ケツの穴」)
grade A dogshit. (A級の犬のうんこ)
> substandard shit (規格外のうんこ
> You guys are pieces of elephant shit! (お前らは象のうんこだ)
 
このやりとりを見るだけで出資した価値があった…なんて思いはひとつもなく、バリが付いたものでもいいから早く届いて欲しい。

ばかの目線で世の中を見る

ばかの目線で世の中を見るようにしている。

・仕事で「走りながら考える」と言われたとき(とりあえず始めてから修正していくという意味)、「え、走るんですか?」と答える。

・ドラマで新幹線の外観→車内で話している人たちとシーンが切り替わっても、さっき見た新幹線と写っている車内は別だと考える。

・新宿の青梅街道沿いのビルに大きく「カラオケ館」と書いてある。青梅街道を新宿方面に歩いてくるとそこから「カラオケ館」という地域のように見える。なのでそう思う。

・「海物語」と書いてある店があったら、海にまつわるお話を聞かせる店だろう。

無粋にものを見ると世の中のつながりは危うくてよくこれで意味が通じてるなと思うことばかりである。

上司と掛け合いまして

資料請求したとある会社から営業電話がかかってくる。

「キャンペーンは先月末まででしたが、私が上司と掛け合いまして林さまに限ってはキャンペーン価格で申し込めるようにしました」

『上司と掛け合って特別に』

そういう営業トークは若いころおれもしたことがある。バブルの前からある話法じゃないだろうか。

人類は言葉を持ったので世代を超えて知識を伝えられるようになった。それで飛躍的に発展した、らしい。

ただしその営業トークは1990年代の時点で効果がなかったことについては後世に伝わってない。


近所を歩いている小学生が、ランドセルを腹に、上下逆にかけて歩いていた。

すこし歩いたところでランドセルのふたが開いて中の教科書をぜんぶ道にぶちまけた。

それ、おれもやった。何十年もばかな子どもがずっとやっているんだろう。

いまの小学生はかっこいいズボンを履いて(ピチピチに短い半ズボンとか履いてない)ランドセルの色もしゃれている。

だけどやっていることは40年前と変わってない。

「ランドセルをふざけて背負うと教科書をぶちまける」。これもまた後世に伝わってない知識である。

なぜその名前

  勢揃坂という地名がおかしい、というエッセイを読んだ(たしか宮沢章夫だったと思うけど手元にないのでわからない)

後三年の役源義家がここで軍勢を揃えて東北に出陣したという歴史にちなんでの名前なのだが、「勢揃い」部分をとっているのがおもしろいという内容だった。

たしかに「後三年の役」「源義家」「出陣」など派手な単語があるのに、よりによって一番最初の「勢揃い」だ。

それで思い出したが川越街道に下頭橋という橋がある。

小学生の頃に読んだ板橋区の民話ではそこにいた物乞いがためたお金で作った橋だと書いてあった。修身みたいな話なのについた名前が下頭橋。頭を下げる橋。その人の名前ではなく、体の動きをとった。なぜそこ?という命名エピソードである。

妻にこの話をしたら橋は物乞いのお金を使うのではなく自治体が作るべきと言ってた。確かに、エピソードそのものがおかしい。封建社会だから。

神奈川にある目久尻川は、川にいたカッパの目をくじりとったからという説があるそうだ。カッパ川ではなく残虐行為。

なんでそこを名前にしたんだろうという地名をたらたら書いたが、どれも行動だった。「勢揃い」「頭を下げる」「目をくじるとる」。 動詞から取るのがいけてたのだろうか。

ってことはどこにでもある通称ナンパ橋は歴史的に正しい名前なのかもしれない。

(そして書くまでもないが、地名の由来は諸説ある)

皆既日食

子どもの頃、家でモルモットを飼っていた。

母がガレージで小屋を掃除しているとご近所さんがやってきたそうだ。そしてモルモットの足元に転がっている粒を取り上げて、「へえ、これがエサ?」と言った。

でもそれはうんこだったので、母は違うと言った。

母がその日の晩にそう話していた。


そのときの返事を端的に言うと

「いいえ、それはうんこです」

だっただろう。

「いいえ、それはうんこです」

バカな子どもが英語の時間にふざけて言うような会話が本当にあった。

冗談みたいな会話が本気で交わされた瞬間、これはこれで皆既日食ぐらいの貴重な瞬間だと思う。「いいえ、それはうんこです」