やぎポエム

ポエムとついてますがブログです。編集・ライターの林雄司のブログです。

床ピラミッド

たいていのスポーツは横にすると難易度がぐっと下がる。

例えばボルダリング。床を四つん這いになって進むのならばできる。

組体操のピラミッドも、ピラミッドを地面に描くように寝ればケガの心配がない。その様子を上空のカメラから撮影すればピラミッドだ。

 

 

鉄棒もあん馬も床に横たわってやれば簡単そうだ。

運動が苦手な人も楽しく参加できるインクルーシブなスポーツ、横たわりンピックじゃないだろか。

駅ピアノ

駅ピアノのうしろで踊るおじさんになりたい。

ピアノを弾けるようになるのは大変そうだから、あのおじさんになれないだろうか。人のピアノで陽気になって、最後にハイタッチを求めてくる人。(駅ピアノはNHK-BSの番組)

自分で弾くんじゃなくて、いまそこにあるものでご機嫌になれるなんて得だ。そっちがいい。

NHK-BSの駅ピアノを見ているとたいてい1回の放送でひとりは登場する。どこの国にもいて、人種はさまざまだけどなんとなくタイプが似ている。

首脳じゃなくて「駅ピアノの後ろで踊ったおじさんサミット」があったら見たいし参加したい。

 

完全

完全食の「完全」という言葉の強さにたじろぐ。

必要な栄養素が全部入っている、だから「完全」。

ところでパフェ。フランス語でパーフェクトの意味だ。フランス人にとってはパフェが完全なのだ。栄養とかではなくて、クリームとかフルーツが全部入っていることが完全。

どっちの完全食がいいかと言われたらフランスの方がいい。

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栄養が全部入ってるから完全、という考えはコスパの思想に似ている。もっと雑にいうならうまいものを罪悪感と呼んじゃう感覚も同じ根っこじゃないだろうか。

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しかし、「完全」という語に中2っぽさを感じるのは「完全無欠のロックンローラー」のせいだと思う。

カニと言える人生

カニで2回ほど湿疹が出たことがある。

それ以来、カニを避けている。

食事会に呼ばれてなにか食べられないものはあるかと聞かれたとき、カニと答えると、(いや、そんな高いものを用意する気はないんだけど…)と思われるかもしれない。

なので、

「あの、そんなもの用意する気ねえよって思うかもしれないんですが(笑)、カニ。だめなんですよ~」

と答えている。

「カニ」と堂々と言える人生でありたかった。

それっぽい

NETFLIXでドキュメンタリーばかり見ている。世界のストリートフード、富裕層の腐敗、音楽フェスが失敗するまで。どれも映像がかっこいい。

青っぽい映像でスローで横移動していることが多い。

www.youtube.com

世田谷線から撮った映像をそれっぽくしてみた。

 

「それっぽい」が得意である。

デイリーポータルZでもそんなことばかりしている。

これは官公庁のパワポっぽくした年賀状

二次会はカラオケで

これはタロットカードっぽくしたカラオケのようす。

これはユニオンジャックっぽくした林

これは昭和初期の観光パンフレットの文語体っぽく書いた文章(リンク

 

会社の仕事でもそれっぽい資料を作ってそれっぽい説明をしている。僕に仕事を頼む人も、それっぽいやつを期待しているのだろう。

 

僕だけではない。たとえば区役所からのお知らせもどれもそれっぽい。

これはきっと区役所で担当者がそれっぽいのを印刷屋さんに依頼して、印刷屋のデザイナーがそれっぽく仕上げて納品、それっぽいのでOKになってそれっぽい掲示板に貼られて僕が見てそれっぽいなーと思ってるんだろう。

区役所のお知らせじゃなくてもiPhoneの広告もそれっぽい。

 

それっぽい、は表層だと思っていたのだけど、実はよのなか表層しかないのかもしれない。地味ハロウィンはそれっぽさの祭典である。

たまにそれっぽくないのがあると写真を撮る。筆文字でコーンスターチ。

 

新社会人に贈る

今年の冬、これから社会人になる若者と話した。「そうか。いよいよ就職か。でも会社はきみが思うよりもおもしろいところだよ」と年長者として偉そうに言ったのが

・借金取りが会社に乗り込んできたり
・電話で激情した村上さんが、村上のカミは上下の下!って叫んでいたり
・残業時間、誰もいないと思ったのかつきあってるふたりがイチャイチャしはじめたんで、いることをアピールするためにいらないコピー取りに行ったり
・本当にだれもいないときは顔をコピーしたり
・役職者が一夜にして平社員になったり
・取引先が倒産して行ってみたら灰皿で殴られて包帯まいてたとか
・酒飲めない先輩がウイスキーボンボン食べてふらふらになって早退したり
・保留にしないまま「めんどくさい人から電話~」と言って転送した人がめちゃくちゃ怒られていたり
・FAX送信が遅いんで引っ張ったら向こうに寸詰まりのデータが届いていたり
・人を間違えたままハンコくれとお願いしたらなぜかハンコおしてくれたり
・同僚が新入社員の家に理由つけて行ったらコネ入社で親会社の偉い人が出てきた話とか

といったエピソードばかりだった。

僕が会社をどう見ているかが分かる。愛おしい。

 

ミルフィーユ

すごく昔のこと。役員が作った事業計画の資料を見た。

いろんな施策を重ねて成長を目指す、みたいなことが書いてあって横に図が描いてあった。

社員と顧客の間に面が重なっている。その図がミルフィーユのようで、実際、その計画の名前は「成長のミルフィーユ戦略」だった。

たぶん考えて図を作ってる間に、ケーキに似てると思ったのだろう。

そして計画の名前もケーキに引っ張られている。

計画の細部、比喩もいちいちミルフィーユにちなんでいて、途中からケーキの話になってませんか、という資料だった。

 

会社ってこういう冗談みたいなことがたまに起こるのでやめられない。