高所恐怖症の知人がよく「なくはない」と言う。
高いところの橋を渡っているとき「この橋が落ちることもなくはないですよ」と言い、高層ビルの上からガラス越しに景色を見ているとき「このガラスが割れることだってなくはないですから」と言う。
高所恐怖症というのは想像力の問題なのかもしれない。
ところでその知人は飲み屋ですぐに店員の女の子に話しかける。もしかしていいことがあるんじゃないかと思っているのかな…と思って見ていたが気づいた。それも「なくはない」のだ! 彼の頭のなかでは。たぶん。
「なくはない」がネガティブ出ると高所恐怖症だし、ポジティブに出ると女の子にちょっかいを出す。
「なくはない」を信じることで世界は彩り豊かなものになるのだ。