やぎポエム

ポエムとついてますがブログです。編集・ライターの林雄司のブログです。

通行人としてのおれ

駅前で工事をしていて横断歩道が通行止めになっていた。

現場の誘導員いわく車道の方まで迂回してくれ、と。

車が途切れるのを待っていると工事現場の偉い人がやってきて誘導の若者に言った。

「もっと臨機応変に対応しなきゃだめだよ」

そう言って道を塞いでいたパイプを外して通してくれた。

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あの誘導のバイトからすると言われたとおりにやっていたのに、あとから臨機応変にやれとか言われて腑に落ちないだろう。

このシーンでいちばん複雑な感情を持っているのはあのバイトだ。

つまりバイトがモヤモヤするきっかけになった通行人が僕なのだ。

通行人A。

つまり、モブキャラだ。

横断歩道を歩いているとき、『あ、いまおれモブキャラ!』と思ってなんだかわくわくした。

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以前も似たようなことがあった。

 

成城学園前でバスを待っていたら隣で解体しているビルから水が降ってきた。

ホコリを防ぐための水が道路に出てしまったのだろう。

「わ、水だ!いま水降ってきましたよね?!」とつい隣りにいた男性に言ってしまったのだが、反応が悪い。

「はあ」みたいな返事だった。

その人をよく見たら、車をぶつけて警察を待っているところだった。

つまり、車をぶつけてしまい途方に暮れていたら、通行人が「水降ってきましたよね?!」と言ってきたのだ。

それどころじゃねえよ。

パーフェクトにそれどころじゃない状況である。

たいへんなときに登場したのんきな通行人Aが僕だ。

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通行人として純粋に通行しているとき、わくわくするのはつまり「おれじゃなくてよかった」という感情の裏返しかもしれない。悪いけど。

宇宙人

宇宙人は目が2つで描かれることが多い。

だが、なにせ宇宙人だからぜんぜん違う生物から進化している可能性もある。目が108個だったりないかもしれない。

それにだ、身体が予想もしない形であるかもしれないし、皮膚だって思いもしない質感かもしれない。地球人から見たらプラスチックにしか見えない可能性だってある。三角錐で手足や感覚器が外から見えないかもしれない。

つまり、こんなのかもしれない。

 

- 三角コーン モノタロウ 69326206

 

そう、すでに東京は宇宙人に侵略されているのだ。

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と、このまえ夫婦でこんなことを話していた。

さっき、AIに僕っぽい文章を書く方法を指示したらわりとそれっぽいのを書いてきて、この三角コーン=宇宙人説を書くのが恥ずかしくなった。

 

私の指示

私が常識的な発言をします。それを疑ってください。文章の展開を荒唐無稽なものを提案して、その可能性もあると言ってください。それが真であると証明するために、詭弁を展開してください。
文章の最後は照れた文章にしてください。
その証拠に、として断片的な事実を追加するようにしてください。

AI

六本木ヒルズは木造ではないと言われていますが、本当にそうでしょうか?
もしかすると、六本木ヒルズは実は巨大な木の精霊が守っている場所なのかもしれません。

もし六本木ヒルズが木の精霊によって守られているとしたら、その建物は木の力を利用して成り立っている可能性があります。
その証拠に、六本木ヒルズの周囲には多くの緑があり、自然と調和したデザインが採用されていることが挙げられます。

なんてね、ちょっと変わった発想ですけど、考えてみると面白いですよね!

 

自分で指示したAIにやる気を削がれた。

砂糖を入れると売れる

ちょっと前に流行った高級食パンは甘くて美味しいと評判だったが、砂糖を入れていたらしい。

砂糖を入れると売れる。

まだそんな単純な図式が有効だったのか。砂糖が貴重だった時代の話のようである。2023年だぞ。

ということは、だ。

まだ砂糖を入れてないもので、砂糖を入れると美味しくなるものがあるんじゃないだろうか。

………おにぎり、じゃないだろうか。

塩にぎりじゃなくて、砂糖にぎり。

伊勢エビや鯛も甘みがあっておいしい、と言われているので砂糖かけてみるといいかもしれない。

 

 

マルチバース風俗

映画「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」を観た。

パラレルワールド(いまだったらマルチバースというのかな)を扱った物語だった。

古くはシンデレラにも通底する「ここではない世界」というナラティブのひとつかもしれない。

なんて分析めいたことを言ってる僕も並行世界について考えるのは好きで、過去にデイリーポータルZの企画で似たことをしたことがある。

dailyportalz.jp

知らない町に行って、あたかも自分がここで育ったかのように振る舞う企画。適当な団地を実家だと思い込んで行ってみて「懐かしいなー」とか言う。

この知らない町は郡山だったのだが、一昨年、仕事で郡山に行ったので、18年ぶりに「実家だと思い込んだ団地」に行ってみた。

2003年

2021年

なぜ僕は縁もない場所の写真を撮り比べているのか。懐かしいと思ったことが懐かしい。

しかし、東日本大震災で原発が爆発したときも、郡山のファミレスが爆発したニュースのときもこの団地を思い出していた(しかしどっちも爆発だ)。

あっちのバースとこっちのバースを混同している。

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もうひとつのマルチバース企画。

dailyportalz.jp

知らないアパートにいると、見たことない人が友達と称してやってくる。その友達の発言からこの世界の自分は何をしでかしたのかを推理する企画。

これはゲームとして面白そうなので自分が解く側に回ってみたい。

 

自分のスマホも見たことないやつで(黄色いアクオスとかがいい)、この世界の自分のFacebookの書き込み(きっとネットワークビジネスとかで意識高いことを言ってる)がまたヒントになったりして。

ゲームを終えたあとも、別の人生が指先に残っているような、家に帰ってあの世界の「友だち」のことを考えて、あ、そうかあれは設定だったんだっけ、と思い出すような感覚が残るといい。

 

雑居ビルの小部屋でそういうゲームができて1時間5000円とかだったりするといいのかもしれないが、風俗っぽいんだよな。

 

お化け屋敷みたいに、マルチバースを通り過ぎて体験できるぐらいがいいかもしれない。マルチバース屋敷。

AIとブレスト

毎日AIとチャットしている。


AIはそのままだと関連度の高いことを言うようにできているようで、あまり面白いやつではない。
寒い→風邪をひかないようにしましょう、とかそんなパターンだ。
寒い→海水浴に行った気分になってみる、と言って欲しい。
デイリーポータルZっぽい。というか、おれか。

だが、考えてみればデイリーっぽい発想とは関連のないこと・対立することを探してくっつけているだけである。
そういう前提を指示するとAIは俄然よくなってくる。

方法:わざと関連のない言葉から共通点を見出す
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林:「網戸にいちばん関係が薄い言葉はなんでしょうか」
AI:「航空母艦のように巨大な物体や概念に関連する言葉と比べると、網戸は比較的小さく身近なものであるため…」
林:「航空母艦と網戸の類似点」
AI:「両者とも軍事用途に使われることがあるという点でも共通しています。」
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もっと強引に指示してみる。
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林:「網戸に全く関係がない言葉を探し出し、その共通点を強引に見つけてください。
AI:「スプーン」という言葉には「プー」という音が含まれている。同様に、「網戸」という言葉にも「ト」という音が含まれている点が共通している。
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かなり強引になった。何言ってるんだ?というライターで僕は好きだけどPVは伸びないタイプだ。
ほかにも前提をしっかりさせると勘いいことを言ってくる。

 

方法:自分の好きなことを地球環境とか愛とか否定できない概念を引っ張り出して同じであると説明する
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林:夜道でひとりでスキップしてストレス解消していることの良さを地球環境の点から説明してください。80文字程度で。
AI:夜道でのスキップはエネルギー消費が少なく、CO2排出量も抑えられるため、環境に優しいストレス解消法といえます。
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すごくおれっぽい。

 

方法:些細なことを過剰にロマンチックに書く
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林:「そう、サントリーホールが赤羽にないように、君の網戸はローマにはない。」そう言った僕に彼女はなんと言ったか。 村上春樹のような文体で100文字で作成してくだい。
AI:「ローマにはない網戸、なんて言われてもね。でも、君の言葉はなんだか愛おしいわ」と、彼女は微笑んでそう答えた。
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網戸、磯丸水産、ボビン、電化製品買ったときにコンセントのプラグについてるカバー、など些細なものだとキザが映える。これも僕がよくやる手。

 

方法:音を入れ替えて面白い響きにする。これはエクセルのオートコンプリートのように指示してみた。
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林:コンピューター → コンピュータン
カマンベール → カーベルマン
ドストエフスキー→?
AI:ドストンフエスキー
林:OK、そういう答えが欲しかった!
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このあとのAIの発言が人っぽくて怖かった。
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AI:すみません、答えを忘れてしまいました。もう一度お聞かせください。
林:ドストンフエスキー
AI:面白い響きになりましたね!
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なんで答えを忘れたんだろう?照れたのか。

 

方法:名作を関係がないフォーマットで表現する。カフカ変身の楽天風と同じ
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林:冒頭は、「ドキッ!湯けむり」ではじめて、最後は「なのだ!」で終わる文章で、カフカの変身の要約を40文字でお願いします。
AI:ドキッ!変身、昆虫へ。仕事や家族との葛藤。最後は孤独な死なのだ!
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そうそう、そういうのを頼む。

 

方法:ギャップ
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林:英雄的なポーズで、英雄が絶対に言わないことを言ったらギャップがあって面白いと思います。3つ考えてください。
林:日本語では、セリフの語尾を「だぴょん」「でやんす」「でおま」にすることでギャップのユーモアを出すことができます。英雄的なポーズで英雄が言いそうにないことを、さらに語尾を変えて作成してください。

AI:「敵を倒す前に、ネイルケアが欠かせないでやんす」

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吉本新喜劇のようなになった。

 

方法:実験が失敗に終わったときのデイリー文体

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林:実験がうまくいかなかったことを、ユーモアを交えて強引に前向きに説明してください。80文字程度で。

AI:実験は失敗だけど、成功のために必要な過程だったんだ。次は成功に近づくために、今回の失敗から学んだことを活かしてがんばるぞ!って思えば、失敗も前向きに捉えられるよね。

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おれが書いたのかなと思うような文章が出てきた。最後の「捉えられるよね」の「ね」の照れ、分かって書いている感じが恐ろしい。よくやる。


方法:ペンネームの付け方
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林:本名とカタカナを混ぜるペンネームが好きです。本名の名前か名字のどちらかに、カタカナをくっつけます。
ナポリタン林
ボビン雄司
林カーネギー
カナカナは、なるべくもとの名前に関連がないものが良いです。
さて、板垣退助さんにペンネームをつけてください。
AI:退助ピンポン
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このあと、板垣ピンポンのほうがいいよとは教えておいた。板垣ピンポン、自由はスマッシュ。(←これは僕が考えました)

 

方法:ペンネームに語尾と一発ギャグを追加する
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林:日本語では、キャラクターの個性を出すために語尾をアレンジします。
「でやんす」「というわけでグラッチェ」「でござる」など。
林:日本ではキャラクター性を増すために、一発ギャグを持つことがあります。一発ギャグは、普通の言葉を勢いよく言うことで笑いを引き起こします。たとえば「二級河川!」「追徴課税だ!」などです。
林:一発ギャグは専門用語と関係のない流行語を組み合わせて!をつけて勢いよく言うスタイルでお願いします
例えばこのようなものです。
「過酸化水素水、飲み放題!」
「100円ショップの店長、人間国宝!」
「露点温度はおれが決める」
(このあいだ考えたものに「もう少し短く」「ギャグだけ別パターンで」などやり取りが続く)
AI:林雄司です。ペンネームはスカイツリー林でピョコン! 一発ギャグは、「断熱材の効果、バッチリ!」(勢いよく言いながら、両手でOKサインを作る)
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「断熱材の効果、バッチリ!」という一発ギャグが気に入った。

 

AI相手にブレストをしているようだ。しかも考えながら、自分の文章の癖や考え方の癖を明かしている。

しかもAIは途中で腐って「だったら自分で考えてくださいよ。帰っていいすか」と言わないところがいい。それがAIの一番の魅力かもしれない。

無理難題を言うと

AI:何か背景や文脈を教えていただけますか?具体的なタイトルを考えるためにお聞かせいただけると幸いです。

みたいなことも言ってくる。しかしこのハロウィンの発言は、何の前提条件も言わずにこういってきたので怖い。

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林:今年のハロウィンは誰もが仮装しないような仮装をしたいと思います。何がいいでしょうか

AI:どうでしょう、パンツ一丁で行くとか?

 

 

AIで記事を書く

流行りのチャットAIで記事が書けないか考えている。

ちょうど仕事しながら食べていた「香ばし蜂蜜バターナッツ」をテーマに頼んでみた。

> 香ばし蜂蜜バターナッツを食べたことがない人に、比喩を使って美味しさを説明する

香ばし蜂蜜バターナッツの美味しさは、まるで秋の風が頬を撫でるような爽やかさと、温かい日差しが心地よく包み込むような優しさが…(略)

……確かに比喩だけど、ナッツを形容する文章ではないし、「いかにも比喩書きました」って感じが中2っぽい。

比喩を使って、じゃなくてもっと方向性がないと書きにくいか。

> 香ばし蜂蜜バターナッツのおいしさを、ほっともっとの弁当との比較を使って説明する

香ばし蜂蜜バターナッツは、まるでほっともっとの弁当の中でも特別な存在のような美味しさがあります。弁当に入っているおかずは、どれも美味しいですが、香ばし蜂蜜バターナッツは、他のおかずとは一味違う

あ、香ばし蜂蜜バターナッツが弁当のおかずだと思ってしまった。指示がわかりにくかったかな。

> 香ばし蜂蜜バターナッツは弁当に入っていない。ほっともっとの弁当は普段食べていて美味しい。ほっともっととまさるとも劣らないことを説明する

申し訳ありません、前回の回答に誤りがありました。香ばし蜂蜜バターナッツは、ほっともっとの弁当には含まれていません。

(中略)
ほっともっとの弁当には多彩なおかずが揃っており、どのおかずも繊細な味付けで美味しく

お、いい感じ!

(中略)

また、まさるとも、ほっともっとと同様に、美味しくてボリュームがあるメニューが揃っています。

まさるとも?

「まさるとも」という何かがあって、それとほっともっととの比較をしてしまった。「勝るとも劣らない」の前半をうっかりひらがなで書いてしまったのがまずかったか。ごめんAI

 

> 香ばし蜂蜜バターナッツは弁当に入っていない。ほっともっとの弁当はなんとなく食べても美味しい。香ばし蜂蜜バターナッツもなんとなくいつのまにか全部食べてしまう。食べ物としての役割は違うが、無意識の旨さという点で似ていることを説明してほしい

 

…と書いてて気づいた、もう僕が文章を書いてしまっている。

なんだよAI!というつもりはなくて、こうやって頭を整理していくのに便利かもしれない。

be動詞で褒める

近所の遊歩道に猫がいたので眺めていた。

そこに散歩中の夫婦がやってきた。その猫はよくそこにいるらしく、

「あら~、またいるの~。そこにいたの~」

と声をかけていた。

愛でる理由が「いる」ことだ。

存在していること、そこにいることだけで愛でられている。これ以下はない理由である。be動詞で褒められている。

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むかし居酒屋で誕生日の同行者がもらったケーキに「生まれてきてくれてありがとう」と書いてあった。これなら初対面でも褒められる。その褒め言葉の守備範囲の広さに膝を打った。

猫のように「いてくれてありがとう」でもいいのだが、そうすると皮肉めいてしまう。

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be動詞で褒められた猫は黙ってしばらく座り、歩いて去った。

猫が「いる」ではなくなったので知らない夫婦も去った。